ネイルサロン接客・運営に役立つ顧客心理5選!行動経済学の観点でアプローチする方法
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行動経済学とは、経済学のモデル理論に心理学的に観察された事実を取り入れた研究手法です。消費者の感情や直感が与える影響を体系化した法則が提唱されています。
行動心理学には多くの理論や原理がありますが、その中でもここでは、サロン運営に役立つ心理傾向やテクニックをご紹介します。
CONTENTS
行動経済学の観点から役立つ顧客心理
行動経済学の観点から役立つ顧客心理について、見ていきましょう。
その1:現状維持バイアス
現状維持バイアスとは、今自分が置かれている環境が価値あるものであると考え、変化することを躊躇する心理効果です。
また、一度変化して、その状況に慣れてしまうと、今度は戻りたくないという心理が働きます。これは変化した状況を肯定的に捉えるため、その状況に留まりたいと考えるようになるためです。
【具体的な手法】
この現状維持バイアスを応用した営業手法が「お試し期間」です。
たとえば「初回は○%割引」「最初の1ヶ月間は○○が無料」といったサービスにより、新しい環境変化への心理的負荷を下げます。すると1ヶ月後には、現状維持バイアスによって、リピートしやすい心理がお客様に働きます。
その2:一貫性の原理
人は、自分の意見や態度、行動に一貫性を持ちたいという心理があり、これを「一貫性の原理」と呼びます。
この心理の背景には、社会生活において他人から高い評価を得たいという考えがあり、行動決定の過程においても、その信条にそって簡単に決定できるというメリットがあると言われています。
そして、「自分が何らかの物事に関わりをもっている場合」と「他人から注目されている場合」には、とくにこの原理が働きやすいと言われています。
【具体的な手法】
お客様に、こちらに好意的な態度を示してもらえるように話しを展開します。
例えば、今日の天気などの雑談などから入り、小さな同意をとりつけます。そして、徐々にハードルを上げていくと、一貫性の原理が働き、相手は途中で拒絶するのが難しくなります。
他にも、販売のテクニックとして、本体価格だけを先に見せ、オプションなどの価格はあとから提示する方法があります。そうすることで、オプションの購入に関するハードルを下げることができます。
その3:極端回避性・松竹梅の法則
ひとつのサービスに対して、一つの価格を提示した場合、その価格が妥当かどうかという視点での検討が始まり、断られる可能性が増えます。
しかし、ひとつのサービスに対して、グレードにあわせて複数の値段表を提示すると、人は自然と中間の価格を選んでしまうという法則です。
これは、安すぎるもの、高すぎるものを避けるという消去法の考えが働くためです。
【具体的な手法】
ネイルサロンに当てはめると、ポリッシュ、ジェルネイル、スカルプチュアなど、サービスに段階をもたせた価格表を提示します。
お客様は、比較検討することによって、極端回避性の心理が働き、サービスを選択しやすくなります。
その4:ツァイガルニク効果
未完成な感じで終わった物事については、完璧に終えられた物事よりも正確に覚えているというものです。
【具体的な手法】
ネイルにおいては、例えばポリッシュのお客様には、施術中に次回のためにジェルネイルをおすすめするなどして、「次はもっと別のネイルを試してみたい」とお客様に思わせるように誘導します。
その5:ザイオンス効果
ザイオンス効果とは、アメリカの心理学者のロバート・ザイオンス氏が提唱した理論です。
「人は知らない人ほど、攻撃的、批判的な態度をとり、逆に会えば会うほど好意的になる」というものです。
【具体的な手法】
来店を促し、直接コミュニケーションを取るのがベストですが、なかなか来店が見込めない場合はメールなどで接触を保つことがポイントになります。
その際も、形式的な内容ではなく、お店の雰囲気やスタッフの人となりがわかるような文面にすると親近感が湧いて、お客様の来店につながりやすくなるでしょう。
注意点:接客の基本が重要
以上のような心理的なテクニックを使うのは、効果的ではあるものの、使える場面は限られています。では、そういった心理効果の出番がないときにどうするかを考えてみましょう。
やはりそれは、接客の基本を大事にし、それをやり続けること。接客の基本とは「表情」「言葉遣い」「距離感」「同調」「身だしなみ」に気を配ることです。
これらのレベルが一定水準以上にあってこそ、ご紹介した行動経済学の心理が効果を発揮します。テクニックにばかり走りすぎないよう注意しましょう。
基本はお客様に喜んでいただける接客サービス
聞き慣れない心理的な言葉や法則、原理などをご紹介してきましたが、それらを元に行われていることは、普段から多くの方がお店などで見聞きしたことのある内容ばかりではないでしょうか。
「お客様にとって快適なお店とはなにか?」を基準に考えながら、リピーターになっていただけるように行動経済学のテクニックを上手に活用してみましょう。
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この記事の監修者
金子 実由喜